皆さん、元気ですか?
急に気温が下がって長袖必須のトロントです。
前回カナダのメープルの木について紹介しました。10種類ある北米原産のメープルの中で、特にカナダ東部に多くみられる5種類について書いた記事でした。
今回はその中でもカナダの国旗のデザインともなっているSugar maple(サトウカエデ)の簡単な見分け方についてご紹介します。
紅葉の時期になるとお客さんがメープルの落ち葉を拾ってきて必ず聞かれる『これってメープルの葉ですか?』という質問。
木と花が苦手な私はそれっぽかったら『そうですよ~』と答えていましたが、サトウカエデの簡単な見分け方法を知ったので、皆さんとシェアしたいと思います。
これで皆でメープルマスターになれるかも♡
シュガーメープル(サトウカエデ)を他のメープルの木と見分ける10の方法
以下の10項目を見分けやすい順で書いてますでどーぞ♡
1.色で見分ける
シュガーメープルの葉は表側が深緑で、裏側が薄い緑。
秋になるとこの深緑の色が抜け、色鮮やか黄色→オレンジ→赤になります。
2.葉先の数で見分ける
葉先の数を数えてみて下さい。
メープルの葉って手のひら型になってると思うけど、シュガーメープルは5つの葉先からなっていて、真ん中の3つが大きく両側に小さな葉先があるのが特徴です。
この上の絵でいうと右の黄色の葉がシュガーメープルの葉っぱ。
3.葉の形で見分ける
葉先と葉先の間がU字型になっていること。
この丸みをおびたU字型がシュガーメープルを見分ける時に重要なんです。
見た目も似てるメープル多いけど、この葉先から葉先への形に注目してみてね。
葉っぱ見るとV型のものやったり、シャープなV型の物など様々。
4.葉脈で見分ける
葉脈を見てみると、真ん中の3本が濃くハッキリしている。
※wikiHow Uploaded by: Wikivisual
実際に見つけてみたらこんな感じ↓
もっと濃く白い葉脈のもあったけど、うちの身長では葉に手が届かず断念。。。
5.枝からのはえ方で見分ける
枝からから2つ対になっていて生えている。1つの茎から1つの葉のみ。
※photo by wikiHow
6.翼果(helicopter seeds)で見分ける
翼果(よくか)の形が2つ対になっていて左右対称、角度は90度以下。
※photo by wikiHow
7.芽で見分ける
茶色く尖った芽の先をもってるので、結構見分けやすい。
近くで見るとコーンみたいな形になってる。
※photo by wikiHow
8.木の大きさで見分ける
まっすぐ伸びていて、高さの3分の2以上から枝がある。
上部になるにつれて狭く、丸みをおびたトップ。
根っこは深く広く根を張る。
※photo from Natural Resources Canada
9.幹で見分ける
若い幹は浅く、指が入れられないくらいタイトで詰まっている感じ。
色はグレーっぽい茶色。
それが何年も経つと(古くなると)、深く毛羽立った感じになり、簡単に樹皮を剥がせる。
10.樹液で調べる
茎を折ってみると、樹液が透明。
Sugar mapleとそっくりなNorway Maple
これだけ紹介しても、シュガーメープルと間違いやすいメープルの木があります。
それがNorway maple.
姿形や色まで似てるので現地の人も、シュガーメープルと間違えるこの木。
Norway maple(ノルウェーメープル)とは?
カエデ科カエデ属の落葉高木で、和名は『ノルウェーカエデ』。
ヨーロッパからアジアにかけて分布していて、カナダには1700年中頃に観賞用の木として持ってこられたのが始まり。
バンクーバーなどがあるブルティッシュコロンビア州南部、オンタリオ州南部からニューファンドランド州西部まで分布しています。
他の木を殺す木?
このノルウェーメープルは、観賞用にヨーロッパから持ってこられたとうい背景があり、北米では街路樹として植えられていることが多いです。
我が家の前にキレイに並んでいるのもノルウェーメープルの木。
でも、専門家の間では“tree killer(木の殺し屋)”と呼ばれています。
何でかって?
それはこのノルウェーメープルの育ち方の特徴にあります。
下記にこのノルウェーメープルの育ち方の特徴4つを書きます。
①太陽が照り付ける暑い場所でもよく育つ。
②road salt(道路塩)に強い。
※カナダは冬が寒く、雪が降り積もります。その時に道路塩をまいて雪を溶かしますが、この塩はまくと同時に色んな植物を殺してしまうんです。でもこのノルウェーメープルはそんな塩にも強い。
③やせた土地でもよく育つ。
④小さなスペースしかなくても育つ。(浅く広く根を張れる)
この4つの点からノルウェーメープルは都市部の街路樹向き。
これに対してシュガーメープルは、肥沃なしっとりした土地で、涼しい場所を好み、育つ過程で深く根を張れる場所が必要。と同時に日光も必要なので、都市部に植樹するには向いていない木なんです。
それでは何でこのノルウェーメープルが木の殺し屋なのかを考えましょう。
それは簡単。
●育つのが早いため、大きくなると陰ができ、周囲の植物に日光が当たらない。
●狭いスペースでも根をはることが出来るため、周囲の植物が深く根を張れない。(ブロックしてしまう)
その他、ノルウェーメープルの葉には毒素が含まれている為、土に含まれる菌や微生物に影響してしまう点も挙げられています。
Sugar mapleとNorway mapleの見分け方
N…Norway maple, S…Sugar maple
N:葉っぱの先が5~7つに分かれている。(なので上の写真はノルウェーメープル)
S:葉っぱの先が5つに分かれている。
N:葉の縦幅より横幅のほうが長い傾向がある。
S:葉の横幅より縦幅の方が長い傾向にある。
N:葉の茎の付け根にある芽が丸い。
S:葉の茎の付け根にある芽が尖っていて硬い。
photo by Gregor Wilke
N:茎や枝を折った時の樹液が乳白色
S:茎や枝を折った時の樹液が透明
N:翼果(よくか)の形が左右対称でプロペラみたいな横長の形
S:翼果(よくか)の形が左右対称でセミみたいな形(←例えが下手)
photo by Gregor Wilke
秋になったら分かりやすい色の違い。
N:紅葉したら色が黄色
S:紅葉したら色がオレンジ、赤
ノルウェーメープルにも種類がいくつかあるようですが、カナダでよく見かけるもう一つのノルウェーメープルはCrimson King norway maple(クリムソンキング)。
これはRed Maple(レッドメイプル)と秋は間違われやすいけど、これも街路樹によくあって、秋になる前は葉の色が紫やから分かりやすい。
これでシュガーメープルとノルウェーメープルの見分け方もバッチリ♪
カナダドルのメープルリーフスキャンダル
カラフルなカナダドルにスキャンダル!!
現在のカナダドル(2018年9月現在)にはメープルの葉が描かれています。
この新紙幣が発行された時、メープルリーフ専門家が
『これはシュガーメープルじゃなくノルウェーメープルだ!』
『何故カナダのシンボルのシュガーメープルをデザインしないんだ!』
と抗議したそう。
これに対してカナダの造幣局は、
『これは色んなメープルの葉を組み合わせたデザインの葉で、実際のメープルの葉ではない!アートだ!』
と返したよう。
皆さんにはこの葉どうみえますかー?
この記事読むまで気にして見たことなかったけど、言われてみたらノルウェーメープルに見えるかも。。。
ご意見聞かせて下さいなー
また秋の紅葉情報もお届けしていきますー♪
【参考文献】
●TreeCanada→https://treecanada.ca/resources/tree-killers/norway-maple/
●Credit Valley Conservation→https://cvc.ca/your-land-water/tree-planting-and-habitat-restoration-services/invasive-species/invasive-species-spotlights/invasive-plants-spotlight/norway-maple-acer-platanoides/
●Tree Pages→http://canadiantreetours.org/species-pages/Norway_maple.html#tree_details
●Gregor Wilke→https://www.youtube.com/watch?v=1Wl1uHuoAU0&t=2s
●Natural Resources Canada→https://tidcf.nrcan.gc.ca/en/trees/factsheet/86
●Reforest London→http://reforestlondon.ca/norway-maple-acer-platanoides
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